FabForward Cobot Studio FR5 RL ドキュメント
学習レシピ

報酬と試行錯誤から「掴んで置く」を学習させる

ポーズを一つずつ手でプログラムするのではなく、Isaac Lab(PPO)で方策ネットワークを学習させます。 鍵は3つ:模倣クローンで暖機reverse-KLアンカーで模倣の天井を破る成功率連動DRカリキュラムで頑健化

ロボットが報酬ループと上昇する性能曲線で学習する概念図

なぜ単純なPPOでは届かないか3つのレバー

ゼロからのPPOはピックのような疎報酬タスクで収束しません。手書きエキスパート(次章)の実演で暖機し、学習中もエキスパートに緩く繋ぎ留めるのが基本。ただし強く縛りすぎると模倣の天井で頭打ちになります。

① 模倣クローン(BC)で暖機

エキスパート実演を bc_pretrain.py がオフラインでMSE回帰 → 暖機チェックポイント。これが無いとPPOは離陸しない。デモを2,000–2,400件に増やすとBCクローンが大きく跳ねた(12/29% → 76/78%)。

② reverse-KL アンカー

学習中、凍結したBCクローンに対する解析的 D_KL(π‖π_ref) を損失に追加(--anchor reverse_kl)。係数は成功率EMAで減衰。モード探索的なので、~97%のデモを超えて学習できる。

③ 成功率連動DRカリキュラム

events_dr.py:成功EMA>0.5までドメインrandomization(PD/摩擦/質量±20%)をOFF、その後フル幅へ。学べる前に環境を荒らさない。Isaac PD と Web簡易シムのダイナミクス差を埋める。

模倣の天井(83%)と、それを破る reverse-KL

アンカー方式性質Isaac到達点
BC-MSE(既定・実績パス)方策平均をエキスパート行動へMSE回帰。係数は bc_weight→bc_floor へ線形減衰(非ゼロ床=崩壊防止)。模倣に縛られる約83%が天井
reverse-KL(天井ブレーカー)「BCクローンから離れすぎない」緩い拘束。手本を超えられる≥85%(Conv 92.6 / Sort 89.9 / Pick 86.8)

結果

実機用ピック方策 ppo_pick_rkl_dr_868.pt が Isaac で 86.8%、本番サイトでライブ稼働。仕分け89.9%(誤仕分け0)、コンベア92.6%(Isaac)。デバッグ性を最優先し、毎ラン スモーク+エキスパート評価+プリフライトをゲートに。

SSOT:docs/b7-rl-pick-plan.md(Session B–F)、docs/break_85_research.md。学習は tools/isaac_rl/train.pyBCRegPPO)。次章で「掴んで置く」の3タスクを、続く章で教師データの作り方を解説します。