0. この会議の進め方

この資料は「みなさんに教える資料」ではありません。みなさんが実際にどう仕事をしているかを、私たちが教えてもらうための資料です。書いてあることは全部たたき台で、間違っている前提で作っています。直してください。

1. なぜこの会議をするのか

出発点になった言葉

「AS/400は今の業務を全部表しているわけではない。ギャップがあるはずだし、AS/400より良いやり方もあるはず。古いシステムに引きずられたくない。」

— 板倉製作所 システム担当者

この指摘はその通りだと考えています。私たちはこれまで、AS/400のプログラム(約230本)とExcel/VBAの資産、それに8年分の実データを読み込んで業務の全体像を作ってきました。しかしそれで分かるのは「システムに記録が残った仕事」だけです。

実際には、Excelで作っている表、紙でまわしている書類、電話やFAXでのやりとり、「この品番はいつも先にこうしておく」といった判断 — こうした仕事はシステムに一切痕跡を残しません。そして多くの場合、そここそが仕事の本体です。

もうひとつの理由 — 一人しか分からない状態をやめる

2026-07-17の打ち合わせで「属人化解消のための業務フロー可視化」が決定事項になりました。しかしその後の確認作業は、結果としてすべて総務のご担当者お一人にお答えいただく形になっています。全部署ぶんの質問を一人が背負っている状態です。

ご本人からも「今のまま進めても、結局社内では一人しか分からない。出来上がったときに対応できる人がいない」という趣旨のご指摘をいただいています。各部署の方に直接お話を伺うのは、この会議が初めてです。

2. この資料の使い方(3つのお願い)

お願い① 書いてあることは全部「たたき台」です

各部署のページには「私たちが理解している流れ」が書いてありますが、これはAS/400のプログラムとデータから推測して組み立てたものです。実物を見たわけではありません。

合っているかを確認するのではなく、違うところを指摘してください。「そんなやり方はしていない」「その手順はもう何年も前にやめた」「順番が逆」— こういう指摘が一番ありがたい情報です。

お願い② 「分からない」「覚えていない」も立派な答えです

これは試験ではありません。「昔からそうなっているので理由は知らない」「前任者しか知らない」も、そのまま記録させてください。誰も理由を覚えていない機能は、作り直す必要がない機能かもしれない — それ自体が重要な判断材料になります。

お願い③ 「本当はこうしたい」を遠慮なく言ってください

新しいシステムはAS/400の作り直しではありません。AS/400にできなかったことをやるためのものです。

「毎回Excelに手で打ち直しているのが面倒」「現場でスマホから見られたら」「探せないから紙の台帳を別に持っている」「間違えても誰がいつ直したか分からない」— こういう話は、機能を決める材料そのものです。各ページの最後に必ず伺う欄を設けてあります。

3. 私たちが今わかっていること/わからないこと

正直に線を引いておきます。この線の右側は、みなさんに聞く以外に知る方法がありません。

データから分かること(確認だけお願いします)データから絶対に分からないこと(教えてください)
何が・どれだけ・いつ(日付単位)処理されたか誰がやったか — 作業者コードは全件空欄でした
受注・製造指示・出荷の件数と品番の内訳一日の中の順番と時間 — 時刻が残る表がほぼ無い
受注日→指示日→完成日→納入日の日数Excel・紙・電話・FAXでやっている仕事の全部
使われている区分コードと使われていない区分コードやり直し・手直し・例外対応をどう処理しているか
8年間の件数の推移なぜそのやり方なのか、という理由
特に大きな空白 — 現場部門に個人の記録がありません

総務が管理しているWindowsの権限台帳には、総務・営業・購買・金型・見積・経理の方が個人名で登録されています。しかし製造・検査・出荷といった現場部門の個人別台帳は見つかりませんでした。AS/400側も「KENSA」「SEIZOU」「SEISAN」という工程ごとの共有ログインで運用されています。

つまり現場の仕事については、私たちは「誰が何をしているか」をまったく把握できていません。ここは全面的に教えていただく必要があります。

4. 資料に出てくる数字について

各ページに出てくる数字は、いただいた実データ(2018年1月〜2026年6月29日、約59万行)を集計したものです。推測ではなく実測値です。

ただし、この数字が示すのは「システムに記録された結果」だけです。たとえば「受注区分1が96.9%」という数字は「ほとんどの受注が区分1で登録されている」ことは証明しますが、「実際の受注のしかたが1種類しかない」ことは証明しません。区分2〜8に相当する仕事をExcelや紙でまわしている可能性があり、それを確かめるのがこの会議です。

数字が変に見えたら、それは私たちの読み違いかもしれません

実際、これまでも私たちの側の誤読が何度か見つかっています。「この数字はおかしい」と思ったら遠慮なく言ってください。数字が間違っているのか、業務の理解が間違っているのか、その場で切り分けます。

5. 当日の流れ

順番やることこの資料のどこ
1全体フロー図を映して、大きな流れが合っているかを一緒に直す1. 全体フロー(たたき台)
2部署ごとに「一日の流れ」を埋めていく各部署ページの §2
3データで見つかった気になる数字を、その場で確認する各部署ページの §3
4システムに残らない仕事を洗い出す各部署ページの §4 と 14. システムに残らない仕事
5「こうだったらいいのに」を集める各部署ページの §5
6その場で決まらなかったことを持ち帰り事項として記録15. 記録・未確認事項
部署ページの構成はすべて共通です

どのページも §1 いま私たちが理解している流れ(たたき台) → §2 一日の流れ → §3 この数字、合っていますか → §4 システムに残らない仕事 → §5 こうだったらいいのに の順です。どこから入っても、途中で部署をまたいでも構いません。

6. 時間が足りないときは

この資料には全部で176個の質問が入っています。一度の会議で全部聞くことは想定していません。 資料は「聞きたいことの全部入り」で、会議はそこから抜き出して使うものと考えてください。 その場で答えが出なかったものは 15. 記録・未確認事項 に残し、後日に回します。

1時間しか取れない場合の優先順位
  1. 全体フローを一緒に直す(20分)— ここが一番効きます。部署の境目・受け渡しの抜けは、この図を見ながらでないと出てきません。
  2. 各部署の §2「一日の流れ」だけ埋める(20分)— データに時刻がほぼ残っていないため、ここは完全な空白です。埋まるだけで大きな前進です。
  3. システムに残らない仕事のExcel候補リストを見てもらう(15分)— 実在するファイル名を並べてあるので、指差しで「使っている/使っていない」を確認するだけで進みます。
  4. 記録・未確認事項の参加者記録を埋める(5分)— 現場部門の担当者一覧が今どこにも無いので、これ自体が成果物になります。
逆に、後回しでよいもの

各ページ §3「この数字、合っていますか」の細かい区分コードの質問は、その場で答えが出なくても構いません。 資料に残しておけば後から個別に確認できます。会議の時間は、資料を見ても絶対に分からないこと ——一日の流れ、部署間の受け渡し、紙とExcelの仕事、「本当はこうしたい」——に使ってください。